GriStar Series グライスター シリーズ プロのための自動工具研削盤

ドリルの基礎知識(2)ドリルを構成する要素について

公開日:2020/03/21  更新日:2020/03/21

今回はドリルを構成する要素についてJISでの定義を含めて、わかりやすく解説していきたいと思います。

 

ドリルを構成する要素

直径

刃部先端外径の寸法。(JIS B 0171 : 2014 より)
ノギス等で計測する場合は必ず先端部の最外周の位置で計測するようにしてください。一般的なドリルの場合バックテーパーがついており先端部よりシャンク部に近い部分の方が若干径が小さくなります。

 

隣り合った切れ刃とヒールとの間の切りくず排出のためのへこんだ部分。(JIS B 0171 : 2014 より)
ドリルの螺旋の溝の事です。この溝が切れ刃のすくい側を構成し、切くずを排出する役割も行います。この溝の螺旋のねじれを大きくするとすくい角が小さく(鋭角)なりますが、切りくずの排出性は悪くなります。逆にねじれが小さいとすくい角が大きく(鈍角)になりますが、切りくずの排出性は向上します。

 

リード

リーディングエッジに沿って軸の周りを一周するとき、軸方向の進む距離。(JIS B 0171 : 2014 より)
簡単に言ってしまうと、溝を伝って一周したときの軸方向の距離です。

ねじれ角

溝の螺旋ねじれの大きさの度合いをあらわした角度です。上記のリードと直径円周による直角三角形のθ角となります。

 

マージン

ランド上の二番取りをしていない円筒面部分。(JIS B 0171 : 2014 より)
ドリルで穴あけをするとき、外周のガイドになる部分です。通常は切れ刃一つにつき1本のマージン(切れ刃の最外周につく)ですが、穴精度を向上させるためこのマージンを倍にした、ダブルマージンドリルもあります。

 

ウェブ

溝底によって形成された部分。(JIS B 0171 : 2014 より)
通常のドリルの場合、溝は2本(刃の枚数分)あり、その溝は軸の中心を少し残して切削して形成されます。そしてこの残った部分の事をウェブといい、先端のウェブの事を”心厚”といいます。

 

逃げ面

切込んでいくとき、工作面との不必要な摩耗を避けるために逃がした面。逃げ面の形状には、円すい面と平面がある。(JIS B 0171 : 2014 より)
ドリルの先端部を上から見たとき、切れ刃を構成していて回転方向の後ろ側が下がっている(逃げている)面のことです。ドリルは回転しながら軸方向に前進するので、切れ刃より後ろ側が高いとそこが被削材に接触して切れ刃で切削することができなくなります。円すい逃げ面は1つの曲面で構成されますが、平面逃げの場合、中心線より刃先側の”2番逃げ”と後ろの”3番逃げ”の2つの面で構成されるのが一般的です。

逃げ角

逃げ面の角度のことです。円すい逃げと平面逃げで定義が若干違います。
円すい逃げの場合、最外周部が後ろに向かって軸方向に逃げている角度をいい、平面逃げの場合は、軸方向より先端角ぶん倒した基準から後ろに逃げている角度をいいます。(図を参照)
逃げ角がきつく(大きく)なると切れ刃は鋭角となり切削抵抗は減少しますが切れ刃が薄く脆くなります。逆に、逃げ角を弱く(小さく)すると切れ刃の剛性は向上しますが、送り速度を下げないと逃げ面の後ろ側が被削材に接触します。

 

先端角

ドリルの軸に平行な面に切れ刃を平行にして投影したときの角。(JIS B 0171 : 2014 より)
図を参照してください。基本は切れ刃を平行にしたときに横から見た角度ですが、センタードリル等、加工後の被削材側の角度が重要視されるものは、回転投影での角度(近似)となります。 この先端角は切削抵抗と切り込み量に影響し、被削材の材質、ドリルの材質などによって最適角度は異なります。

 

シンニング

ウェブ先端を特に薄くした部分。切削抵抗を小さくするためのもの。(JIS B 0171 : 2014 より)
ドリルは構造上、ウェブの部分には切れ刃を持つことができません。この部分は実際の切削の際は接触した被削材を押し潰すような動作となり大きな切削抵抗がかかります。そこでここに切り込みを入れることで疑似的に切れ刃にし、切削抵抗を小さくします。用途や条件によって多様な形状のシンニングがあります。

今回はドリルを構成する主要な要素をご説明しました。次回からはこの要素についてさらに詳細に説明していきます。