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エンドミルの基礎知識(2) エンドミルを構成する要素について

公開日:2021/07/28 更新日:2021/08/15

エンドミルの基礎知識、第二回目です。今回はエンドミルを構成する要素についてご説明します。

 

 

エンドミルを構成する要素

直径

エンドミル外周部の直径。

ストレート刃エンドミルの場合は先端からシャンク側の切れ刃限界まで直径は変わらない。テーパー刃の場合は、先端径とテーパー角の指定があることが多い。

 

外周切れ刃のすくい面を構成するへこんだ部分。

外周刃におけるすくい面を構成し、切削された切りくずを排出させる目的も併せ持つ。この溝を深くすると切りくずを収容できる空間(チップポケット)が大きくなり、切削効率は向上するが、工具剛性が低下する為精度が落ちやすくなる。

 

刃数

エンドミルにおける外周刃の数。

チップポケットとも大きな関係があり、刃数が少ないと溝深さを深くできチップポケットを大きく確保できるので切削効率は良いが、加工面は粗くなる傾向にある。刃数が多くなるとチップポケットが小さくなり切削効率は落ちるが、1刃あたりの切削量が少なくなるので加工面の面粗度は向上する傾向にある。

 

ねじれ

エンドミルの外周部の溝の螺旋角度。

切りくずの排出を促す。また切削抵抗を抑えビビり抑制の効果もある。一般的には30°程度に設定されていることが多い。

 

すくい面

エンドミル外周溝のうち、外周刃の内側(すくい部分)を構成する要素。

外周切れ刃を構成し、チップポケット、切りくずのスムーズな排出をする重要な役割を持つ。

 

外周逃げ面

外周刃において外側の切れ刃を構成する要素。

2番のみ、または2番3番の形状。逃げ面がソリッド形状の「コンケイブ」と、ラウンド形状の「エキセントリック」の2種類がある。コンケイブは工具制作、再研磨が比較的簡単だが切れ刃が脆くなりやすく、耐久性で劣る。エキセントリックは、製作コストはかかるが耐久性があり近年はエキセントリックが多用されている。

 

底刃逃げ面

エンドミル底刃において切れ刃を構成する要素。

2番のみ、2番3番の形状。垂直方向への切削時は底刃逃げ面による切れ刃が切削を受け持つ。またボールエンドミルにおいては、ほぼすべての切削は底刃で行われるので重要。

 

ギャッシュ

底刃のすくい側を構成する要素。

エンドミルは芯厚が大きいのでそのままでは中心部に切れ刃を創ることができない。そこで、ドリルのシンニングより大きく深い溝を入れることで、切れ刃の確保と切りくずの排出を行っている。

 

以上、エンドミルの主な構成要素の説明でした。

 

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